船酔いとは恐ろしいものです。
とにかく、船の中のこと、逃げる場所がありません。
この、とてつも無く苦しい状態を抜け出すのには船から飛び降りるしかないのです。
でも、そこは海の上です。飛び降りただけで心臓マヒで死んでしまうほどの冷たい
海であったり、時にはサメのウヨウヨいる海であったりで、とてもそんなことは
出来ません。
ですから、だだひたすら耐えるだけなのです。
本船のブリッジから船首を見ています。
写真のように「べた凪」の日ばかりならば良いのですが・・・
港を出てから1週間、毎日キモチワルイの連続です
椅子に座って、業務日誌を書くだけでゲロが出ます。飯は、見るのも嫌です。
何か食べても、すぐに戻してしまいます。
でも、何も食べないとよけいキモチワルイのです。
ちょうど、二日酔いで、「金輪際サケは、飲まないぞ!」と、誓っている朝を
思い出してください。
誰でも1度や2度は、経験のあることだと思います。
でも、仕事は休むわけには行きません。
と、言うより、休ませてくれません。
考えてみれば当たり前のことでして、船乗りが船酔いで仕事が出来ないなんて
シャレにもなりませんからね。Hi
てなわけで、1週間で約5キロ程痩せてしまいました。
でも、人間のからだとは本当によくできているものでだんだんこの状態になれて
くるのです。
昨日まで、飯も食えないほどの船酔いだったのに、今日はもう大丈夫。
船が揺れると、体のあちらこちらに力が入りますから疲れます。
疲れるから体力も消耗する、すると腹が減る、飯が食える。
と、まあこんな具合にだんだんと、自分のからだが船の揺れに慣れていくのです。
そうすると、もうこっちのものです。
船の上のこと、あまり娯楽もありません。
楽しみといえば食事です。
もう、朝飯を食っているときから、今日の昼飯と晩飯が何であるか気になります。
「船の食事はホテルの食事」と言われますが、さすがに素晴らしいものです。
.....続く